どうも、ありつむぎです。
今回は、2009年に2chに書かれた怖い話
カツオ「姉さん……それはタラちゃんじゃないよ」
を解説していきます。
タラちゃんの死をきっかけにサザエが狂ってしまう2chのSSです。元の話のリンクは記事の最下部に記載します。
はじまり
この物語は、主人公のカツオの「姉さん……それはタラちゃんじゃないよ」という唐突な一言から始まります。
それから、カツオは「今から1年前にタラちゃんが交通事故で死亡してしまった」という陰惨な背景を説明し、続けて、正面にいる一見元気そうなサザエに目を向けました。
しかし、サザエは、1年経ってもなおタラちゃんの死を受け入れることが出来ていませんでした。
そのため、ある時手に入れたタラちゃんそっくりの少年の姿をしたぬいぐるみを我が子のように抱きしめながら「なに言ってるのよカツオ、タラちゃんならここにいるじゃない」と喋ります。
そんな奇行に嫌気がさしたカツオは、「何言ってるんだよ姉さん、しっかりしてよ……」と言いました。
ですが、「私はしっかりしてるじゃない、あんたこそ顔色悪いわよ、ねえタラちゃん」と、カツオの体調を心配しながらぬいぐるみに同意を求めるように微笑み続ける始末。
それからサザエは、夕飯のハンバーグを作るから、出来上がるまでタラちゃんと遊んでいてほしいと言い、四肢がだらりと垂れた物言わぬぬいぐるみをカツオに手渡してきました。
視線
ぬいぐるみを受け取ったカツオは、ワカメと共用している自室に向かいました。
その部屋には学習机に向かっているワカメがいて、ワカメはカツオが持っているぬいぐるみを見るが早く、表情をこわばらせました。
しかし、ワカメはサザエの現在の精神状態を全て知っているため、ぬいぐるみの存在にはほとんど言及しません。
そして、ぬいぐるみがサザエに毎日のように連れまわされている影響でボロボロになっていることを知ると、カツオからぬいぐるみを受け取り、針と糸で修繕に取り掛かりました。
その様子を見ながら、カツオは次のように語っていきます。
「ぬいぐるみはタラちゃんの死から一か月後に波平がサザエに買い与えたものだ」
「ぬいぐるみのおかげでサザエは元気を取り戻した」
「それ以来ぬいぐるみをタラちゃんと完全に思い込むようになってしまった」
さらに、フネと波平は古い考えを持っているためサザエを精神科に連れて行っていないことや、自分を含む家族は、時間が経てばサザエは元に戻ってくれるはずだと楽観視している。
こういった生々しい事情も説明していきます。
そんな説明の後、カツオがぬいぐるみの状態を尋ねました。
すると、ワカメは「そろそろ危ないかもしれないわね」と、ぬいぐるみが壊れる寸前であることを説明しつつ、ぬいぐるみの頭部を開いて新しい綿を詰め込み、開いた箇所を針と糸で縫い合わせます
カツオはそんな様子をぼんやりと眺めていたのですが、不意に自身の背後に妙な視線を感じ、とっさに後ろを振り返りました。
それと同時に、僅かに開いていた部屋のふすまが音を立てて閉められてしまいます。
そのため、カツオはその正体を確かめることが出来ませんでした。
ですが、部屋の隙間からカツオとワカメの様子を覗いていたのは、サザエ本人であったことが判明します。
囁き声
それからしばらくして、カツオとワカメはフネに呼ばれて夕食の席につきました。
その際カツオは
「サザエの目にはあの修繕作業がグロテスクに映るだろう」
「もしサザエに見られたら何をされるか分からない」
と思いつつ、ぬいぐるみをサザエのそばに置きました。
すると、サザエはただ微笑んで「さあタラちゃんいらっしゃい、おいしそうなハンバーグでしょう」とぬいぐるみに話かけながら、一口サイズに千切ったハンバーグをぬいぐるみの口に押し当て続けました。
ところが、突然サザエは「タラちゃんが頭痛を訴えているから休ませてくる」とフネに言い、ぬいぐるみと共に自室に向かっていきました。
サザエは、カツオたちが夕食を平らげた後も戻ってこなかったものの、この時は誰も気にすることはありませんでした。
そして、マスオと波平は晩酌を開始し、カツオは暇つぶしに自室で漫画を読もうと思い、自室に続く廊下を歩きだしました。
しかし、カツオがサザエの寝室を通り過ぎようとした時、突然その寝室から
「……大丈夫よ、タラちゃん……大丈夫だからね」
「痛いところ全部……とってあげるからね」
というサザエの抑揚のない囁き声が聞こえてきました。
その声に耳を傾けていると、何かを引き千切るような音と共に・・・
「悪い物を詰められて……痛かったでしょう?」
「可愛いタラちゃんに針を刺して……こんなことを……」
といった、ワカメの修繕作業に対するサザエの静かな怒りの声が響きました。
この時、カツオの心は恐怖に支配されたのですが、突然廊下の奥から、サザエに食べさせるためのおかゆを乗せたお盆を持ったワカメがやってきて、ワカメはその部屋に入ってしまいました。

その時、カツオとワカメの目に飛び込んできたのは、ぬいぐるみに詰められた綿が部屋中に散らされている異常な光景でした。
その部屋でサザエは、綿を抜かれて細くなったぬいぐるみを片手で持ち、窒息するほどの量の綿を自身の口に詰め込みながら、カツオを虚ろな目で眺めていました。
その後、サザエは駆け付けたフネに助けられながら綿を吐き出し、声をあげて泣いたのですが、次の日の朝には、ぬいぐるみのことを忘れたかのようにフネと共に台所に立ち、明るく振る舞い始めました。
結末
こうしたサザエの振る舞いを受けたカツオは、「どこか異様だった」という感想を抱きました。
ですが、きっとタラちゃんを失ったショックから立ち直り、現実を受け入れてくれたのだろうと考えるようになりました。
それから、カツオはいつものように学校に行って授業を受けた後、ワカメよりも早く帰宅します。
その際、台所でサザエが、1人で昨日の夕食のハンバーグの残りのひき肉をこねる姿を横目に、部屋に自身のランドセルをぶん投げて、友人たちが待つ公園で野球をするために外に出ました。
その後、愛用のバットとグローブを自室に忘れたため自宅に引き返し、その際、玄関にワカメの靴が揃えられているのを見て、ワカメは自分が外に出ている間に帰宅したことを知りました。
それから、早く野球がしたいという気持ちで自室に向かい、バットとグローブに手を伸ばした瞬間
「ズル……ズル……」
と何か重い物を引きずるような音と、聞き取れないほど小さなサザエの呟きが奥の廊下から聞こえてきました。
その音と呟きは、徐々に自室に近づいてきます。
カツオはとっさの判断で「サザエがこっちに向かってくる」と判断して部屋の押し入れに身を隠しました。
そして、ふすまに小さな穴を空けて、そこから部屋の内部をうかがうことにしたのですが、暫く経ってもサザエは姿を見せなかったため、外に出るためにふすまに手をかけました。

その時、廊下と自室を繋ぐふすまが開け放たれ、そこから、サザエによって殺害されたワカメが投げ込まれました。
サザエは、ワカメの血液を滴らせた包丁を持った状態で、ワカメの肉片を詰め込んだぬいぐるみを拾い上げながら部屋に進入してきました。
それからサザエは
「ワカメはタラちゃんの体を奪って綿と詰め換えていたから許せない」
「ワカメからタラちゃんの体を取り返す」
「黙って見ていたカツオもワカメと同じくらい悪い」
といった理解不能なことを喋り、これを聞いたカツオは「見つかったら殺されてぬいぐるみに詰め込まれてしまう」と判断して隠れ続けました。
ですが、最終的にカツオはサザエに見つかり殺害され、それと同時に物語は幕を閉じました。

なお、スレッドの終盤には、帰宅と同時に、肉が詰まったぬいぐるみと赤い体液に塗れたサザエを目撃してしまうマスオを描いた不穏なイラストが見られます。
最後に
内容は以上となります。最後までお付き合いいただきありがとうございました。
提供:キリン【考察系youtuber】
https://www.youtube.com/watch?v=YL71DsE28rc
元ネタのリンク
https://yuitannel.blog.jp/archives/1072311667.html