ゆめにっき。
製作者である「ききやま氏」が、自身の実体験を元に製作したと言われる2004年に公開されたゲームで、RPGツクール史上最高傑作かつ最大の問題作と言われています。
窓付きと呼ばれる1人の少女を操作して、彼女の部屋にあるベッドで睡眠を取り、彼女の見ている不気味で怖い夢の世界を散歩するのですが、ゆめにっきには明確な目的は当然のことやるべきことも指示されていません。
製作者いわく「ストーリーは存在しない」とのことですが、完全に無意味に設置されているとは思えない意味深なオブジェクトやキャラクター、無数の解釈が出来るエンディングなどから、現在に至るまでファンの間で考察が行われています。
今回は、そんなゆめにっきにの有力とされる考察を紹介していきます。
窓付きとエフェクト
ゆめにっきでは、窓付き自身が見ている夢の世界を特に目的もなく歩き回るといった内容となっているのですが、窓付きの夢の世界はかなり不気味なもので占められています。
- 「人のサイズにまで拡大された微生物」
- 「上半身に一つ目と鋭いキバを生やした謎の物体」
などを筆頭に、プレイヤーが目を背けてしまいたくなるほどおぞましい存在でひしめいています。
そして、この恐ろしい夢の世界は窓付きの荒んだ精神状態を表していると考えられています。
また、夢の世界の各エリアには、「エフェクト」と呼ばれる、そのまま道具として使用したり、使用すると窓付きの姿が変わり特殊能力が使えるようになる、いわゆるアイテムのようなものが配置されています。
- じてんしゃ
- ほうちょう
- ぼうしとマフラー
- ゆきおんな
といったものがエフェクトの代表として挙げられます。
そして、こうしたエフェクトは窓付きが現実世界で愛用していた道具や変身願望であり、夢の世界において窓付きの唯一の心の拠り所なのではないか?と考えられています。
また、窓付きの自室の扉は外の世界に通じていると考えられているのですが、彼女は部屋を出ようとすると扉の前で首を振るばかりで決して部屋をでようとしません。
この理由については
- 現実世界に対して非常に強い恐れを抱いて引きこもり状態に陥っている
- 窓付きは生まれもっての狂人でこの部屋にずっと隔離されている
- 誘拐されて監禁されている
- 自室すらも夢の中で出られない
など様々な説が存在しています。
なお、彼女はずっと目を閉じているのですが、これはは周囲に対する拒絶を意味しており、窓付きの「何も見たくない」という気持ちが反映されていると言われています。
夢の世界の登場人物
ゆめにっきの夢の世界には、窓付き以外の登場人物も存在します。
ほとんどが公式の名称ではありませんが、それぞれ「鳥人間」「ポニ子」と一般的に呼ばれており、その名がファンの間では定着しています。
鳥人間について
鳥人間 は、文字通り鳥の顔をした女性のような見た目をしていて、夢の世界の様々な場所で見ることができます。
そして中には、窓付きの姿を認識すると目を血走らせて追い回す鳥人間もいて、もし捕まってしまった場合、窓付きは脱出不可能な謎の場所に転送されてしまいます。
鳥人間の正体について、鳥のようにやかましく声をあげ、醜悪な見た目をした窓付きをいじめていたクラスメイトではないかと言われています。
さらに、鳥人間は他のキャラクターと比べて頭身が高いことから母親や教師などの窓付きが恐れている大人なのではないかといった説も存在します。
ポニ子とウボァ
ポニ子は、金髪の髪をポニーテールにしている女性のキャラクターで、他の夢の住人と比べて人らしい外見をしています。
そのため、現実世界で窓付きと関係のある人物または友人ではないかと考えられています。
また、ポニ子は「浅瀬」と呼ばれるステージの奥地にある家の中にいて、内部は一見安全な場所のように思えます。
しかし、窓付きが部屋の照明を消灯することにより、64分の1という低確率で、ポニ子は通称「ウボァ」と呼ばれる白黒の異形の怪物に変貌してしまうのです。
ポニ子が「ウボァ」に変貌する理由は不明ですが、これは窓付きがポニ子を友人として見ることができなくなった瞬間の心情を表現しているのではないかと言われています。
例えば、ポニ子が鳥人間の窓付きに対するいじめに加担し、それを偶然窓付きが目撃してしまったといったように。
また、窓付きがウボァに触れると脱出不可能な不気味なエリアに転送されてしまうのですが、このエリアはポニ子の本性を見た窓付きの絶望を表しているのかもしれません。
窓付きが最も恐れるトラウマ
夢の世界には、窓付きにとって鳥人間やポニ子を遥かに上回るトラウマが存在していると言われています。
そのトラウマには「キュッキュ君」「赤の王様」とファンの間で呼ばれる2体のキャラクターが関係しています。
キュッキュ君
数字や機械などのオブジェクトが配置された世界に存在する、階段の手すりを磨き続ける長細いキャラクターです。
赤の王様
キュッキュ君がいる階段の先にある扉の中に入ると画面全体に現れる、赤い光を放つおぞましい見た目をしたキャラクターです。
窓付きの恐怖心
そして、この赤の王様とキュッキュ君の解釈として、赤の王様は窓付きに性的暴行を加える男性で、キュッキュ君は赤の王様のそそり立つ男性器を表現しているという説があります。
この説によると、赤の王様が放つ激しい光は窓付きが受けた性的暴行に対する焦燥感と絶望を表しているとのこと。
そして、窓付きが赤の王様と対面してから一定の時間が経過すると、窓付きは強制的に目を覚まします。
そのため、赤の王様に対する窓付きの底知れない恐怖心がうかがえます。
また、窓付きが赤の王様と対面する際に開く扉は、窓付きの自室に設置されている外の世界に通じる扉と同じ模様をしています。
これについては、現実の外の世界に赤の王様に相当する人物が存在することを表していると考えられています。
セコムマサダ先生と火星さん
窓付きが歩く夢の世界の核心に迫る内容として、火星不時着イベントと呼ばれるイベントを挙げることができます。
この火星不時着イベントを見るためには「センチメンタル小室マイケル坂本ダダ先生」、略して「セコムマサダ先生」とファンの間で呼ばれるキャラクターが搭乗している宇宙船に乗り込む必要があります。
そして、その宇宙船の奥にある大きなベッドで睡眠を取ると、低確率で宇宙船が火星に不時着します。これが火星不時着イベントです。
そして、火星に降り立ち先に進んでいく窓付き。
その最深部には、通称「火星さん」という巨大な人の足のような得体の知れないキャラクターが存在しています。
窓付きが包丁で火星さんを傷つけると、火星さんには決して塞がることがない傷が付きます。
夢の世界の終着点
そして、これらのことから以下のような考察が生まれています。
まず窓付きは、現実世界でセコムマサダ先生に当たる人物とベッドに入って行為におよび妊娠したと言われています。窓付きの年齢は10歳以上というのが通説で、この年齢であれば妊娠は不可能ではありません。
しかし、その後何らかの要因により流産してしまい、このことは「火星不時着イベント」という形で再現されているとのこと。
ちなみに、宇宙船で包丁を取り出すと、セコムマサダ先生は窓付きを恐れるように後退するという特徴的な行動を行います。
この点から、セコムマサダ先生と窓付きには現実世界において密接な関係があると考えられています。
火星さんの正体については「窓付きの歪んでしまった精神状態」を可視化したものであると考えられています。
火星さんに付けた傷がふさがらない理由としては
- 「鳥女やポニ子によるいじめ」
- 「赤の王様から受けた性的暴行」
- 「流産」
といった幾多のトラブルにより、窓付きの心に決して塞がらない傷ができたことを表現しているのではないかと言われています。
なお、火星に不時着した後は、宇宙船を除く他のエリアに進むことができなくなります。
そのため、ゆめにっきにおける火星は「窓付きの夢の終着点」と言えるかもしれません。
終幕
ゆめにっきにはエンディングが存在しています。
窓付きが夢の世界の24個のエフェクトを回収する。それらのエフェクトをとある場所で全て捨てる。頬をつねって目を覚ます。ベランダから飛び降りる。
これらの行動を順番に取ることが条件です。
窓付きが夢の世界を歩いていた理由は、夢の何処かに自分にとっての救いがあるのではないかと淡い期待を持っていたからだとされています。
結局「夢にも救いがない」ことを確信し、何もかもに絶望した末にベランダから飛び降りてしまったのではないかと言われています。
ただし、他にも様々な説が存在しており、窓付きのこうした行動には多くの謎が残されています。
最後に
以上が、ゆめにっきの有力とされる考察についてでした。ここまで読んでいただきありがとうございました。
提供:キリン【考察系youtuber】