皆さんは、リメイク前のイルルカを知っていますか?
3DSで発売されたRPG【イルとルカのふしぎな鍵】の前の作品…リメイクされる前の作品である【マルタのふしぎな鍵】は、GBAおよびゲームボーイカラー専用のソフトとして発売されました。
テリーのワンダーランドの続編として2000年代に発売されたこのゲーム。クリアからその後の世界まで、累計200時間ほど遊んでみたので、以下より、感想やゲームシステムについて書いていきたいと思います。
目次
結論
結論から言うと、非常に楽しい作品でした。溢れている今どきのゲームとは違って、ジックリ長く、本気で楽しむことができる作品であると僕は思いました。
派手な演出もありませんし、戦闘においてもキャラクターは全く動かない古いゲームではありますが、斬新なシステムやそれを感じさせない戦略性と新鮮味があって、心から楽しむことが出来ました。
シンプルかつ味のあるグラフィック!
この作品における戦闘は非常にシンプルです。
画面の中央に、敵モンスターのやや粗めのグラフィックが表示されていて、その上に自分の使っているモンスターのHPやMP、レベルなどのステータスが表示されています。
画面に表示される情報はこれだけです。それ以上は自分のモンスターは映りませんし、敵も動きません。
このゲームの戦闘は、あくまで【グラフィックと文字情報】だけで成立しています。
最近のゲームに慣れている方には物足りなく感じるかもしれません。
ですが、その分戦闘に集中出来ますし、余計なものに目を奪われずに済みます。
シンプルイズベストです。
グラフィックは最新の作品と比べれば見劣りしますが、暖かみのあるもので、さほど気になりません。
モンスターズならではのシステム!
このゲームの最大の特徴は、ドラゴンクエストのモンスターを戦わせるという点です。
皆さんが思い浮かべるドラクエと言えば、勇者、魔法使い、僧侶、武闘家などの職に就いた人間が、我が物顔でモンスターを倒していくというゲームだと思います。
しかし、この作品は違います。
主人公は、自分が味方にしたモンスター達に命令をして、野生のモンスターと戦ってもらうのです。
当然、度々登場するボスもモンスターです。人間と直接戦うことは1度もありません。自分が手懐けたモンスターを使って戦います。
ぼくは、このシステムにどハマりしました。
モンスターを使うということは、人間を操作するよりも楽しさを覚えたのです。
ドラクエの世界において、人間が魔王を倒すということは当たり前のようになっていますが、芝居がかっていて好きではないんです。
だって、そこらの石柱をガンガン薙ぎ倒すほどのパワーのあるモンスターの攻撃を、人間が耐えるなんて意味が分からないじゃないですか。速度の出ている車にぶつかっただけで亡くなってしまうほど脆い人間が、どうしてモンスターとの戦いになった途端に頑丈になるのか意味不明です。
何と言うか、いくら強い装備を身につけたところで、人間なんかが、強大な力を持つモンスターに勝てるわけがないという勝手な思い込みがありまして…
そういった考えがあるため、僕はモンスターズが好きです。戦闘は、人間を遥かに凌ぐ力のあるモンスターに任せて、賢い生物である人間は、裏方に回って命令を下してタワーオペレーターの役割を果たせば良いのです。
この【マルタのふしぎな鍵】は、適材適所がしっかりと意識されている最高の作品です。
配合というシステム
モンスターズを語る上で欠かせないのが【配合】というシステム…言わば合体です。
これによって新たなモンスターを使えるようになりますし、特技やスキルも引き継ぐことが可能です。配合によってモンスターはドンドン強くなり、最大まであがるレベルの数字も伸びます。
配合でしか作れないモンスターもいることから、とにかく夢中になります。
また、いらなくなったモンスターや、使うことに飽きたモンスターは配合をして新たなモンスターを生み出すことが可能です。
このシステムのおかげで、飽きることなく楽しめます。
ふしぎな鍵という最高のシステム
マルタのふしぎな鍵は、とにかく無限に遊べます。ゲームのストーリーのクリアやラストボスは存在しますが、その後は遊び切れないほどの内容がふんだんに盛り込まれているのです。
というのも、このゲームのタイトルにもなっている【ふしぎな鍵】は、闘技場という場所でイベントを終えた後の景品などで無限に手に入れることが出来ます。
その鍵を【鍵屋】という店の店主に見せて【鍵の名前】を調べてもらい、その後に特定の場所で使うことで、旅をすることができるフィールドに行くことが出来ます。
森、砂漠、凍土、墓場など、フィールドは入手した鍵の種類によって変化しますし、出てくるモンスターも異なります。
例えば、Aという名称の鍵にはスライム系のモンスターがたくさん出てきて、Bという名称の鍵にはドラゴン系のモンスターばかりが出現するという感じの変化があります。
どんなモンスターが出てくるのだろう?どのようなモンスターを仲間にしよう?などと、ワクワクしながら旅をすることができる点は、非常に好感を持ちました。
モンスターのコレクトも楽しい!
また、モンスターの図鑑を埋めることも楽しいです。
この作品に登場するモンスターは250種類以上にのぼります。
スライムならばグランスライム。ドラゴンならばオリハルゴンといったように、各種系統によって最も強いモンスターが用意されています。それを目指して配合を繰り返したりすることも楽しいです。
配合でしか生み出せないモンスターも多数存在しますし、集めた数に応じてゲーム内の特典が用意されています。
最終的には、1つのソフトに1体しか登場しない非常に珍しいモンスターが仲間になります。
ホラーチックな本編
マルタのふしぎな鍵の本編は、ホラー要素が全体を通して強めです。
ラスボスの城がある世界を含めて、5つの世界を旅するのですが、そのうち3つの世界はホラーです。
1つめの砂漠の世界は順当なストーリーですが、2つめの海の世界は、お宝を求めて海を彷徨っている幽霊船に乗り込んで、亡者達を成仏させる必要があります。
寂れた船だということが伝わる陰鬱なグラフィックや、暗いBGMによって最大限にホラーな雰囲気が出ています。
3つめの氷の世界のイベントの1つには、森に出没する王女の魂を追いかけるというものがあります。
魂と目が合ったと思えば、クルリと振り向いて森の奥にスゥ…と消えてしまいます。それを追いかけて話しかけなければなりません。
4つめは空に浮かぶ大地の世界です。
そこには亡者達が集う城があり、最深部にあるとされる宝を手に入れなければなりません。ただでさえ怖いというのに、出現するモンスターは強くて、仕掛けも複数用意されているため全て解かなければなりません。
このように、ホラーな要素を散りばめてくれているおかげで、緊張感をもってプレイすることが出来ました。
賛否は分かれそうですが、僕はホラーが好きなので楽しかったです。
7までの歴代の魔王さえも仲間に出来る!
前述した、配合というシステムを駆使すれば、なんとドラクエシリーズの7までのラスボスこと魔王を仲間にすることが可能なのです。
お馴染みの【りゅうおう】や【オルゴデミーラ】もそうですし、【エスターク】なども仲間に入れることが出来ます。
さらには、魔王達の真の姿である【しんりゅうおう】や【アスラゾーマ】【サイコピサロ】【ジェノシドー】などを引き連れて旅が可能です。
思い出深いあの魔王や、カッコよくて強そうなあのモンスターまで、なんでも味方にすることが出来ます。
総評
つまり、マルタのふしぎな鍵は非常に楽しくて、遊ぶ気になれば無限に楽しむことが出来る最高傑作ということです。
どこのアクションゲームとは言いませんが、グラフィック、BGM、声優だけに拘り、ゲームシステムを蔑ろにしている作品とは雲泥の差です。
グラフィックは暖かみがあって、BGMも数こそ少ないものの丁寧に作られています。ゲームシステムは最高レベルです。当然ながら、追加コンテンツと称してお金を取られることはありません。
プレイヤーのためを思って心から作られたであろう最高傑作と言えます。GBAにおけるおすすめのゲームソフトです。
唯一残念な点は、バーチャルコンソールで発売されていないということです。
ゲームボーイカラーもしくはGBAとPS1にのみ対応したソフトしか存在しておらず、3DSやSwitchでは遊ぶことが出来ません。
このソフト自体珍しく、さらにはゲームボーイといった製造が終わったゲーム機を用意しなければ遊ぶことが出来ません。
ですが、もし機会があったら是非とも遊んでほしいです。
面白さは僕が保証します。